【現役通関士が解説】靴のHSコードを完全攻略

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材質分類と用途分類

靴のHSを検討するときは靴の甲と底の材質分類から始めると良いでしょう。
材質分類を確定後に用途分類を行い、HSを採番します。

例として、甲:プラスチック製、底:プラスチック製のスリッパをHS採番しましょう。

ステップ1:甲及び底がプラスチック製のため、64.02を検討する。

64.02その他の履物本底及び甲がゴム製又はプラスチック製のものに限る。

ステップ2:スリッパはスポーツ用の履物及び、甲の部分のストラップ又はひもを底にプラグ止めしたものに該当せず、その他のもの(6402.99)に該当する。

6402.99その他のもの

ステップ3:短靴、サンダルに該当しないため、HSコードは6402.99-090に該当する。

090-その他のもの

出典:webタリフ

【64.01及び64.02】 甲:ゴム製又はプラスチック 底:ゴム製又はプラスチック

【64.01】防水性の履物について説明します。
この分類には、以下の条件を満たす履物が含まれます:

底と甲の素材が次のいずれかであること

  • ゴム製(40類で定義されているもの)
  • プラスチック製
  • 目視で確認できるゴムまたはプラスチックのコーティング層がある繊維素材

この分類の履物は、水や液体の侵入を防ぐ目的で作られています。
具体的には:

  • スノーブーツ
  • ガロシュ(防水用オーバーシューズ)
  • オーバーシューズ
  • スキーブーツ など

また、複数の素材を組み合わせた履物も対象となります。
例えば:

  • 底がゴム製
  • 甲が繊維製で、目視できるプラスチックコーティング層があるもの (この場合、プラスチックコーティングによる色の変化は考慮しません)

このような組み合わせの履物も、この分類に含まれます。

※この項に規定されている材料の一つを一部に、もう一つの材料をその他の部分に使用して製造 された履物(例えば、本底はゴム製で、甲は肉眼により判別できる程度(この場合において、プ ラスチックの外面層を有する結果生ずる色彩の変化を考慮しない。)のプラスチックの外面層を有 する紡織用繊維製のもの)であってもこの項に含まれる。 
出典 税関HP:64.01解説

【64.02】この分類には、底と甲がゴムまたはプラスチック製の履物のうち、64.01項に含まれないものが対象となります。素材の組み合わせについて、異なる素材を組み合わせて作られた履物も含まれます。
例えば、底がゴム製で、甲が繊維製であっても、その繊維に目視できるプラスチックコーティング層がある場合は対象となります(コーティングによる色の変化は考慮しません)。

【64.03】 甲:革製 底:ゴム製、プラスチック製、革製又はコンポシジョンレザー製

【64.03】には、甲が革製の履物で、以下の素材で作られた靴底を持つものが含まれます:

  1. ゴム(40類の規定に基づくゴム素材を使用)
  2. プラスチック
  3. 繊維素材
    -織物やその他の繊維製品で、目視できるゴムまたはプラスチックのコーティング層があるもの
    (コーティングによる色の変化は判断基準としない)
  4. コンポジションレザー
    -41類の規定による、革または革繊維を原料として製造された合成皮革
    革を基材とした再生素材のみが該当

これらの素材を使用した本底と、革製の甲を組み合わせた履物が、この分類の対象となります。

【64.04】 甲:紡織用繊維 底:ゴム製、プラスチック製、革製又はコンポシジョンレザー製

【64.04】には、繊維素材を甲に使用し、靴底の材質が64.03項に分類される履物と同様の材料で作られた履物が含まれます。

例えば、布製の甲とゴム製やプラスチック製の靴底を組み合わせた履物などが該当します。

【64.05】 甲:コンポシジョンレザー製、紡織用繊維、その他のもの 底:その他のもの

【64.05】には、前述の項目に含まれない素材や、複数の素材を組み合わせて作られた履物が含まれます。

具体的には、以下のような履物が該当します:
1.靴底がゴムまたはプラスチック製で甲が革、繊維、ゴム、プラスチック以外の素材で作られた履物
2.靴底が革または合成皮革製で、甲が革または繊維以外の素材で作られた履物
3.以下の素材で作られた靴底を持つ履物(甲の素材は問わない。):
 ・木材
 ・コルク
 ・ひもや綱
 ・板紙
 ・毛皮
 ・織物
 ・フェルト
 ・不織布
 ・リノリウム
 ・ラフィア
 ・麦わら
 ・へちま 

靴の種類

輸入申告でよく扱う靴の種類を紹介します。

スポーツ用履物

スパイク・クリップ等を備えた競技用シューズ】
競技時の機能性を高めるため、特殊な接地部材を装備できる、または装備済みの以下のような専門的なスポーツシューズが該当します:

代表的なスパイクシューズ
・陸上競技専用スパイク(トラック種目用)
・投てき競技専用シューズ
・野球用スパイク
・ゴルフシューズ
・サッカースパイク
・審判用シューズ
・ラグビーシューズ
・アメフト用スパイク

特筆すべきものとして、競輪選手が使用する専用シューズがあります。これは、ペダルに固定するための特殊な金具の取り付けが可能な、もしくは取り付け済みの構造を持っています。


特殊競技用シューズ
スケート用シューズ
スケート用の金具やローラー部分を装着できるよう、靴底に特殊な金属プレートが組み込まれた構造を持つ靴


スキーブーツ
一般スキー用およびクロスカントリー用、
つま先部やかかと部にビンディング(スキー板との固定具)が取り付けられる特殊構造を採用


格闘技用シューズ(レスリング・ボクシング)
以下の4つの特徴をすべて満たす専用シューズ:
1. 滑り止め加工された平らな靴底
2. つま先とかかとの外側部分が補強材で保護
3. 靴紐による着脱方式
4. くるぶしより上まであるハイカット設計


サイクリングシューズの特徴
以下のいずれかの特徴を持つ専用シューズ:
・ペダリング効率を高めるための金属プレートが靴底に内蔵
・ペダルとの噛み合わせを考慮した横溝デザインの採用

この分類で重要なのは、各スポーツの特性に合わせた機能的な設計が施されていることです。
一般的な運動靴とは異なり、それぞれの競技に特化した専門的な機能を持っている点が特徴です。

体操用等に供する履物(スポーツ用の履物に該当しない)

【平底靴】

下記(1)から(3)までのすべてに該当する靴で、形状、 機能等を総合的に判断して、体操用等に直接供することを主たる目的とするものであると認められるもの

(1)本底の表面がすべり止め成型されているもの
(2)甲の爪先部分若しくはかかと部分の外面が補強されて いるもの(材料を問わない。)又は甲の一部が本底材と の一体成型により補強されているもの
(3)甲締め部分がひも締めのもの又は甲締め部分に面ファ スナーを使用しているもの

【機能的特徴による判断基準】
(イ)底部が衝撃吸収機能を有する構造(例えば、中空構造)となっているもの  
(ロ)甲の一部に通気のための加工が施されているもの  
(ハ)中敷の土踏まずの部分に通気のための加工が施されているもの  
(ニ)足入れ口部分にアキレス腱等を保護するための加工が施されているもの

【ソール設計における重要基準】
平底靴の認定に当たっては、上記(1)において本底の表面がすべり止め成型されているかいないかを判断することとされているが、本底の表面の溝が1ミリメートル以上あるものはすべり止め成型されているものと認定して差し支えない。 

出典:64類 国内例規.Ⅱ 「体操用等に供する履物」の範囲


【登山靴】

登山靴として分類されるためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
靴底の構造要件
素材:ゴム製またはプラスチック製
踏みつけ部の最低厚:9mm以上(凹凸部分を含む)
かかと部の最低厚:18mm以上(凹凸部分を含む)

グリップ性能要件
・以下のいずれかの仕様を満たすこと:
・滑り止め加工が施された靴底表面
・専用の登山用鋲(ムガやクリンカーなど)が取り付けられていること

装着方式
・靴紐による締め付け方式を採用していること


これらの要件は、岩場や急斜面での確実な足場確保、長時間の歩行による疲労軽減、そして足首のサポートなど、登山に必要な基本機能を確保するために設定されています。

短靴

スリッパ

キャンバスシューズ

サンダル

その他の靴 (短靴、サンダルに該当しないもの)


「コンポジションレザー」とは、第41.15項の物品のみをいう。

4115.10-コンポジションレザー(革又は革繊維をもととして製造したもので、板状、シート状又 はストリップ状のものに限るものとし、巻いてあるかないかを問わない。) 

【コンポジションレザー
天然の革又は革繊維をもととして製造したコンポジションレザーのみを含む。

天然の革をもととせず、プラスチック(39 類)、ゴム(40 類)、紙若しくは板紙(48 類)又は塗布 した紡織用繊維の織物類(59類)などをもととして製造したイミテーションレザーを含まない。

“bonded leather”として知られるコンポジションレザーは、次のような種々の製法で作られ る。
(1)革のくず及び細片をにかわその他の結合剤で凝結すること。
(2)革のくず及び細片を結合剤を使用せず強く加圧して凝結すること。
(3)くずを結合剤を使用せず紙を作るように熱湯中で加熱により離解させ薄い繊維状にし、こ のようにして得られたパルプをふるい分けし、圧延し、カレンダー掛けすることによってシ ートに成形すること。

コンポジションレザーは、染色し、型押しをし、磨き、しぼ付けをし、スタンプし、カーボラ ンダム若しくはエメリーでgrindingしてスエード仕上げをし、ワニスを塗布し又は金属を被覆し たりすることがある。 
出典 税関HP:4115 解説

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この記事を書いた人

横浜で通関士の実務を10年以上しています。たくさん失敗をしました。寝れない夜もありました。それでも通関が好きです。通関で挫折する前に記事を読んでもらい、助かる人が少しでもいれば良いなと思って、ブログを立ち上げました。

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