出典 税関HP:9類 解説分類 3p
・お茶のHSコードを知りたい。
・お茶の種類によってHSは違うの?
・税関の分類解説を読んでも、いまいちよく分からない。
と疑問を抱えている方の悩みを解決できる記事になっています。
なぜなら、本記事は実務経験10年以上の現役通関士が実際に経験しきたことを活かし、執筆しているからです。
記事の前半では【お茶の種類とHSの選定根拠】を解説し、記事の後半では【輸入時や販売時に関わる他法令】を具体的に説明します。
この記事を読み終える頃には、お茶のHSコードを選定や他法令を理解できるでしょう。
【事前知識】お茶の種類は3つある!?
出典 株式会社あいや:お茶の分類・代表的な緑茶の紹介
まず先にHSコード選定のポイントとなる、お茶の種類を説明します。
お茶は①不発酵茶②半発酵茶③発酵茶の3つの種類に分かれます。
①不発酵茶:緑茶、玄米茶、抹茶、ほうじ茶
②半醗酵茶:烏龍茶
③発酵茶 :紅茶
【分類解説】お茶の種類とHSコードの選定
お茶の代表的なHSコードは0902です。
しかし、お茶の種類によってHSコード:0902に当てはまらないものがあります。
そこで、お茶の種類を一つ一つ分けて、HSコードを分類していきます。
それでは、具体的にお茶の種類からHSコードを選定していきましょう!
緑茶(発酵していないものに限る)のHSコード(0902.10)
緑茶(発酵していないものに限る)のHSコードは0902.10になります。
ただし、正味重量が3キログラム以下の直接包装にしたものに限ります。
正味重量が3キログラム以上や直接包装にしていないものは、0902.20なので注意しましょう。
ほうじ茶のHSコード(0902.10)
ほうじ茶のHSコードは0902.10になります。
ほうじ茶とは緑茶の一種のため、緑茶として0902.10に選定しました。
緑茶の選定理由と同様に、正味重量が3キログラム以下の直接包装にしたものに限ります。
正味重量が3キログラム以上や直接包装にしていないものは、0902.20なので注意しましょう。
抹茶のHSコード(0902.20)
抹茶のHSコードは0902.20になります。
下記、長崎税関の緑茶の輸出についての説明から一部を抜粋しましたので、ご一読ください。
国外でも需要が高い抹茶を含む「粉末状の緑茶」の輸出実態を把握するため、HS コード表が改正され、HS コード「0902(茶)」 に『粉末状のもの』を創設し、平成 31 年 1 月 1 日から適用されました。
出典 長崎税関:緑茶の輸出について
紅茶のHSコード(0902.30)
紅茶のHSコードは0902.30です。
下記分類事例より、紅茶のHSコードが解説されています。
ご一読ください。
出典 大阪税関関税監査官:2019/02/19分類の事例
烏龍茶のHSコード(0902.40)
烏龍茶のHSコードは0902.40です。
ズバリ!税関の解説に烏龍茶のHSコードについて解説されています。
この項には部分的に発酵させた茶(ウーロン茶)を含む。
出典 税関HP:9類解説
HSコード0902に該当しないお茶
麦茶のHSコード(1904.10又は 2101.20 )
麦茶のHSコードは1904.10、または 2101.20です。
下記、税関ホームページをご参照ください。
麦茶等に使われる「いり麦」等については、「穀物調製品(19 類)」と「コーヒー代用物(21 類)」
との分類が考えられるが、「コーヒー代用物」に分類されるのは、通常市販されている程度の大き
さのティーバッグに入っているものに限られる。よって、バルクのものは、コーヒー代用物であ
るかないかが明確でないことから「穀物調製品」として 19 類に分類される。
出典 税関HP:19類
玄米茶のHSコード(1904.10又は 2101.20 項)
玄米茶のHSコードは1904.10、または 2101.20です。
下記、税関ホームページをご参照ください。
”玄米(花を含む。)の割合が、
50%以上のものは玄米に特性があるものと認め第 19.04 項に、
50%未満のものは第 21.01 項に分類する。”
出典 輸出入品目分類の概要 横浜税関業務部関税鑑査官:8ページ目 事例5
マテ茶のHSコード(0903.00)
マテ茶のHSコードは0903.00です。
税関ホームページ 9類の解説に”マテ(Paraguay tea)(09.03) ”
英文に注目すると”Paraguay tea”と記載されています。
タリフの英文を見るのもHS選定の判断基準になりますね!
ハーブティーのHSコード(2106.90)
ハーブティーの事前教示 事例集を転載します。
ハーブティーは成分によってHSコードが異なりますので、注意しましょう。
登録番号 | 122000939 |
税関 | 神戸 |
処理年月日 | 20220421 |
一般的品名 | ハーブティー |
税番 | 2106.90-299 |
関税率 | 基本25% 、 協定15% 、 特特Free |
内国税率 | 消費税6.24% 、 地方消費税22/78 |
貨物概要 | スペアミント、ペパーミント、甘草を混合し、乾燥し、ティーバッグに詰めたもの 製法:原料→金属探知機→カット→ふるい①→除菌→ふるい②→保管→混合→検査→ふるい③→乾燥→包装→金属探知機→出荷 原料:スペアミント、ペパーミント、甘草 性状:ティーバッグ 用途:小売用(飲用) 包装:ティーバッグ30袋/箱、1箱=42g |
分類理由 | 本品は、他の項に該当しない調製食料品であり、関税率表第21.06項及び同表解説第21.06項(14)の規定により、上記のとおり分類する。 ※本回答書に記載された基本税率以外の関税率は、一定の条件のもとでのみ適用されるものである。 ---以下余白--- |
法令 | 食品衛生 、 植物防疫 |
出典 税関HP:事前教示 事例集
ハーブティー(香辛料)のHSコード(0910.12)
ハーブティーの事前教示 事例集を転載します。
ハーブティーは成分によってHSコードが異なりますので、注意しましょう。
登録番号 | 123001742 |
税関 | 横浜 |
処理年月日 | 20230628 |
一般的品名 | ハーブティー(香辛料) |
税番 | 0910.12-210 |
関税率 | 基本10% 、 協定5% 、 特恵Free |
内国税率 | 消費税6.24% 、 地方消費税22/78 |
貨物概要 | 破砕したしょうがを脱水し、レモングラス、ラズベリーの葉等と混合し、ティーバッグに入れたもの 製法:しょうがをスライス(破砕)→脱水→その他の原料を混合→計量→袋詰封印→包装 原料:しょうが、レモングラス、ラズベリーの葉、バオバブ粉末、ライムの果皮 性状:破片状 用途:小売用 包装:73g/袋 |
分類理由 | 本品は、しょうがにレモングラス、ラズベリーの葉等を混合したものであり、しょうがの重要な特性を保持していると認められることから、関税率表第9類注1及び同表第09.10項の規定により、上記のとおり分類する。 ※本回答書に記載された基本税率以外の関税率は、一定の条件のもとでのみ適用されるものである。 ---以下余白--- |
法令 | 食品衛生 、 植物防疫 |
出典 税関HP:事前教示 事例集
お茶の輸入通関に関する他法令
輸入:食品衛生
基本的に人の口に入るものは、食品届けが必要です。
輸入申告時には食品届けをしているか、輸入者様へご確認をお願いいたします。
「食品衛生法」に該当すると思われる物品(食品、添加物、器具、容器包装及び乳幼児用玩具など)が含まれており、これらの物品については輸入の都度、厚生労働大臣へ届け出ることになっています。”
出典 東京税関HP:食品衛生法
なお、お茶は軽減税率8%が適用できます。
輸入申告書作成時には項目【内消税等種別】はF4ではなく、F3で申告しましょう。
輸入:植物防疫
外国から輸入される植物は、植物防疫法により植物検疫を受けることを義務付けられています。
茶葉も植物防疫法に該当します。
輸入申告時に植物防疫所の検査を受けているか、ご確認をお願いいたします。
出典 税関HP:植物防疫法に基づく輸入規制の税関における確認内容(カスタムスアンサー)
医薬品・医療機器等法
通関実務では、「医薬品製造販売業許可」「医薬品製造業許可」を必要とする際、輸入申告書の他法令項目に「医薬品製造販売業許可」「医薬品製造業許可」の番号を記載します。
「医薬品製造販売業許可」「医薬品製造業許可」について、
ハーブ原料など医学的効果効能を謳い医薬品として輸入販売する場合、同法に基づく「医薬品製造販売業許可」が必要です。また、輸入後、包装・表示・保管を行う場合は「医薬品製造業許可」が必要です。日本薬局方(医薬品の規格基準書)に収載されているもの以外は、厚生労働大臣による品目承認が必要です。
出典 ジェトロ(日本貿易振興機構):茶類の輸入手続き:日本
その他、販売時の規制
日本市場に流通する際に必要な法令を紹介いたします。
あまり輸入通関に関わらないですが、日本国で定められた法律です。
輸入者様へあらかじめ確認を取った上で、輸入申告へ入ることをお勧めします。
食品表示法
食品表示法についてジェトロ様が分かりやすく解説しています。
ご一読お願いいたします。
”税関への輸入申告時に通関書類とともに検疫所から発行される「食品等輸入届出済証」を提出します。”
出典 ジェトロ(日本貿易振興機構):茶類の輸入手続き:日本
JAS法
JAS法についてジェトロ様が分かりやすく解説しています。
ご一読お願いいたします。
”JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合した食品表示法が2015年4月に施行され、表示すべき事項(名称、アレルゲン、保存方法、消費期限、原材料、添加物、栄養成分の量及び熱量、原産地その他食品関連事業者が表示すべき事項)を食品表示基準として定めています。”
出典 ジェトロ(日本貿易振興機構):茶類の輸入手続き:日本
景品表示法
景品表示法についてジェトロ様が分かりやすく解説しています。
ご一読お願いいたします。
”過大な景品付販売や消費者に誤認されるおそれのある誇大・虚偽表示等は禁止されています。”
出典 ジェトロ(日本貿易振興機構):茶類の輸入手続き:日本
資源有効利用促進法/容器包装リサイクル法
資源有効利用促進法/容器包装リサイクル法についてジェトロ様が分かりやすく解説しています。
ご一読お願いいたします。
“ガラス瓶、紙製容器、PETボトル等は分別回収促進のための材料識別表示が義務付けられています。特定事業者(輸入業者を含む)は容器廃棄物の再商品化が義務付けられています。”
出典 ジェトロ(日本貿易振興機構):茶類の輸入手続き:日本